2018/06/23
新津由衣
新津由衣 × OTOTOY
< Neat's ワンダープラネット 公開試聴会 >
OTOTOY (松涛伊藤ビル) 2F イベントスペース
座席 : 5列-6番 (全席自由)
開演 14:00 → 終演 16:45 (公演時間 : 2時間37分) ※ 音響トラブルによる中断 8分を含まない
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※ 新譜の「公開試聴会」ですので,Set List というものは,特にありません (収録曲の順番通りです)。
★M01. Overture
★M02. FLAG
M03. ワンダープラネット
★M04. 愛のレクイエム
★M05. Bye-Bye-Bee-By-Boo
★M06. Unite
M07. フローズン・ネバーランド
★M08. スイム・イン・ザ・ワンダー
M09. 月世界レター
★M10. ホップチューン
★M11. BIG BANG!
※ 上記の ★ は,既存の Live で披露されている曲です (あくまで,私自身が行った範囲で・・・他にもあったかも)。
とはいえ,一応,ミニライヴの Set List だけ掲げておきます。
M01. 月世界レター - Naked
M02. ホップチューン - Naked
M03. ワンダープラネット - Naked
当たると思ってなかった試聴会に,当たってしまいました。アンケートは,別途送るにしても,これ,OTOTOY からレポートも出るし,メモとして書くかどうかも迷ったんですけど・・・目算で 37名 (+三上さん) しかいないクロージング・イベントでしたし,落ちた人も,どれほどいるかわかりませんので,通った手前,なんとなくでも書いておこうかと思います。
もともと,OTOTOY のプロデューサーである飯田 (飯田仁一郎) さんが,新譜「Neat's ワンダープラネット」を聴いたときに,すごくいい作品だったことから,この試聴会を企画したということで,公開インタヴューの形で進んでい・・・くはずだったんですけども,そこは,新津の由衣ちゃんの空間,持ってるというか,なんというか・・・途中から,思わぬ方向に進んでいくんですけども,それもまた,Live=生の醍醐味ということで。
まずは,音響エンジニアの高橋 (高橋健太郎) さんから,今回の試聴会で用いる,ハイレゾ機材に関する説明がありました (紹介ページは こちら)。PCM とハイレゾの聞き分けは,なかなか難しくても,128 [kbps] AAC ばかり聴いている私,さすがに,音質の違いがわかるくらいのものでした。ちなみに,1本・64万円のスピーカーと,5万円の DAC のことを,スピーカーは神だけど,DAC になると,地上に下りてくる・・・と表現する由衣ちゃん。あいかわらずの独特さですけども,その由衣ちゃんを Facebook で見つけたのが,現在のサウンドプロデューサーである保本 (保本真吾,CHRYSANTHEMUM BRIDGE) さんだったのでした。Twitter アカウントの自己紹介で
SEKAI NO OWARI、ゆず、androp、でんぱ組.inc、SKY-HI、シナリオアート、新津由衣、三上ちさこ、カリスマドットコム、サイレントサイレン、Awesome City Clubなどのアレンジ、サウンドプロデュースをしてます。
とあるように,とってもすごい人です。そして,これを引用してみて,由衣ちゃんが「サイサイフェス」に出演する理由が,ようやくわかりました。どうみても斜め上すぎ,なんで (のちの「質問コーナー」で,時間が許せば聞きたかった)・・・と思っていたら,まさかの「サウンドプロデュースつながり」があろうとはねえ (たぶん)・・・
で,私見では意外なことに,由衣ちゃんのほうからではなく,保本さんのほうからアプローチをかけてきたそうなんですけども,由衣ちゃんから,なかなか本人と認めてもらえず (ファンと間違えられ),「楽屋にお邪魔させてもらえませんか」といっても,「第2のファンの関門」と疑われつつ,TOY'S FACTORY の取締役まで連れていって,誠意を見せ・・・ようやく,仕事の話ができるようになったものの,なんと!最初はお断りしてしまったんだとか。セルフプロデュースをよしとしているので,一緒にやろうとは思っていないと言いつつも,その後すぐに,セカオワの作品を聴いてみて,その世界観の面白さに一気に惹かれ,半日足らずで「すいません,間違えました」・・・といったのが,ふたりの制作のはじまりでした。もともと,クリエーターとして,ものすごく強い信念をもっている由衣ちゃん,決して,人を肩書きやステータスではみないということが,はっきりわかるエピソードでした。「セカオワとかプロデュースしててもね,まあ,こんな感じなんですよ。けっこう,売ったんですけどね」・・・といって笑わせる保本さんもの懐の深さも,また然り。
「新津由衣」の紹介も,RYTHEM から Neat's の活動を振り返りつつしていましたが,本質的には「どの (時点の) 活動であっても,伝えたいことは,何も変わっていない」という言葉が印象的でした。その時々で,周囲を取り巻く環境との兼ね合いもあって,なかなか,うまく伝えられないこともあったり,Neat's "MOA" で「やりきった感」があって,その後の制作活動にだいぶ苦労したことからも,伝えたいことを伝えられないもどかしさ,苦しさが垣間見えました。
「新津由衣」という頭の中に,小さな由衣ちゃんがいるという話をしても,飯田さんに「ぜんぜんわかんない」と言われてしまいましたが・・・そこからの,飯田さんに対する「圧」がすごい。公開インタヴューというのに,飯田さんのほうを向いて,ひたすら「私の中には『ミニ由衣』がいて云々」という話を・・・「わかってくれるひとが,わかってくれればいい」という一方で,わかってくれない人には,わかるまで話したいという由衣ちゃん。「う~ん・・・わかってくれるかなぁ」という由衣ちゃんを「わかるよー!」とアシストしたのは,なんと!後ろにいた三上 (三上ちさこ) さんでした。たしか,ひとり遅れてきた人が・・・後ろをみれば,どっからどうみても,三上さんじゃありませんか。もうすっかり,レーベルメイト,否,それを超えた絆の強さが感じられます。しかし,保本さん相手にも,だいたい,こんな感じで話をするもんで・・・保本さんも,「話をスルーするスキル」が身についたそうで (´つヮ⊂)ウォォ(´つヮ⊂)ウォォ
飯田さんによると,いつものインタヴューだと,ここまでで 1時間はかかるとされた話の調子も,きょうのところは,ここまでで,だいたい 30分くらいでしょうか。ここから,いよいよ試聴会です。当初は,何曲か流したのち,1曲ずつ,解説を加えていくスタイル・・・になる予定でした。とりあえず,"Overture","FLAG",「ワンダープラネット」,「愛のレクイエム」を流したところで,解説へいきます。
- M01 - Overture:すでに,既存の Live でも S.E. として用いられていた曲で,映画のオープニングから,いきなりセリフから入らないように,Inst. の導入をもたせました。飯田さんから,珍しいという声もありましたが,由衣ちゃんも「これしか考えられなかった」と言うように,よくあるパターンだとは思います。
- M02 - FLAG:由衣ちゃんの歌詞にしては珍しい命令調の多さ,ジャンヌ・ダルクが馬に乗った姿を想起させるような勇ましさや,チェコで馬の蹄 (ひづめ) の音を録音したところから,馬に乗る人の息遣いを表現するコーラスも加えたものです。
- M03 - ワンダープラネット:本作の最後に作った曲で,夢を見続ける,夢が覚める狭間の迷いの感情が,レコーディングにも,リアルな形で現れているものです。明るい曲調とは対象的な迷いに,保本さんも,さすがに 3年かかって,これはちょっと・・・と苦言は呈したものの,あえて,その感情を残すこともアリで,キレイに仕上げることもないという判断をされたようです。
- M04 - 愛のレクイエム:由衣ちゃんのおばあちゃんが,昨年の春に天国に行ってしまったときの曲で,前向きな言葉を並べてみたものの,本当にそうだろうかと葛藤し,マックで泣きながら書いた曲です。
とまあ,1曲につき,2,3分は話してましたけど・・・「ざつにテキストしょうかい」すぎて,なんとなくでも合ってんのかな?
で,この調子で試聴再開・・・6曲目の "Unite" で,明らかに,スピーカーから出る音の様子がおかしい。もともと,前・4曲でも万全ではなかったんですけども,あまりのおかしさに,一旦停止し,しばしの調整タイムへ。いったん,由衣ちゃんと保本さんもハケて,休憩・10分のはずが,トイレから戻ってきたら・・・ふたりが戻っていて,突然の質問タイムが始まっているではありませんか。通路から,ちょうど,保本さんのドラクエ話が聞こえてきましたけど・・・ゲーム音楽の経験を,サウンドプロデューズに活かす話が面白かったです。作品の中で一番時間がかかった曲は,「ホップチューン」という話もありました。由衣ちゃんの酔った妄想から,保本さんの天才的な音作り,果ては,人間力にまで話が広がり・・・休憩と質問は,30分を優に過ぎてましたね。どんなにいい音楽を作っても,人間力がなければ響かないという由衣ちゃんの主張は,私も,まったくその通りだと思いますし,一方で,保本さんもまた,きちんと仕事を選んで ないしは 選ばせている (小室さんのステージの話をもってきても断るなど,大舞台が最適解にあらずという) こと,いま立たせるべきステージを見極めて,草の根で活動していこうとする意思も,よく伝わりました。ある意味で,この「調整の裏で語られたトーク」が,きょうの公開インタヴューの核心的なところだったのかもしれません。
ひとまず,機材が復旧したところで,当初の予定を変更して,"Bye-Bye-Bee-By-Boo" から "BIG BANG!" まで一気に流して,作品の総括へ。保本さんからは,RYTHEM 時代からのファン (ほぼ全員かな) からすれば,驚きの変化だったでしょうという一方,「新津由衣」として,この作品で勝負していきたいという決意が,由衣ちゃんからは,どんな飾りをつけてでも,本質を伝えるために,伝えたい人に会いに行って,わかるまで伝えたいという決意が語られたところで,Album から 3曲,Naked ver. で披露してくれました。終わってみれば,5曲目以降の解説を (トラブルによる遅れで) 全部飛ばしてなお,予定の 2時間を大きく超える,2時間45分の長丁場でした。
―――ここまでが,ざっと概要でした。以下,ざっと所感を。
個人的には,既存の Live で聴いた曲 (=はじめて聴いたわけではない曲) のほうが多く,むしろ,あぁ・・・やっと,音源として日の目を見るときがきたんだという,ある種の「安堵感」のほうが大きかったんですけども,由衣ちゃんのパーソナリティが,非常によく体現された作品だと感じました。常に,自分の心に正直で,そして,信念を曲げない。クリエーターとして,こんなに心強い「芯」はないと思います。しかし,「ワンダープラネット」は,迷いの中の精神状態で歌われていること自体,はじめて聞いたもので (そもそも,曲もはじめてだったかな),これ,Live でやるとき,どういう心境になるんだろう・・・と気遣われましたが (これも「質問タイム」で,時間が許せば聞いてみたかった),Naked ver. のときに,由衣ちゃん自ら「今は,笑顔で歌えるんで大丈夫です」と言われて,安心しました。こんな背景を知っておくと,音源と Live とで,違った聴きかたができそうな感じがしましたし,あえて,その迷いを隠さず,そのままの形で届けるという思いは,保本さんとの共同作業ならではの作品だと感じました。
かつて,MOA レコ発 Tour (新代田 FEVER,2014/8/30) のときに,「終わらない思春期」という所感を,本人の Twitter アカウントに reply したことがあったんですけども,あれから 4年弱,ことに,「東京10本武者修行ツアー」からの 10ヶ月を振り返ってみれば,心強いサウンドプロデューサーやレーベルメイトともに,「思春期」とはまた少し違った,「終わらない青春」の始まりを予感させる時間であったと思いました。
今回は「音源試聴会」ということで,いくらなんでも,ハプニングは期待して (!) なかったんですけども・・・起こるときは,本当に起こるもんですねえ。音源試聴会なのに,肝心の音源が,まともに出てくれないっていうね。今回に関しては,中断・30分余の間に,期せずして「新津由衣×保本真吾」の本質に迫るような話が聞けた一方で,5曲目以降の曲の解説が,全部飛んでしまった点については,率直に残念でした。まあ・・・もともと,ずいぶん (2時間の予定) 時間も延びそうな雰囲気でしたし,全部,解説までしてたら,3時間はとうに過ぎ,3時間半に迫るくらいになっていたかもしれませんしね。私は幸い,この後の予定はなかったんですが,予定がある人もいるでしょうし (事実,2,3人,途中で抜けていきましたしね),簡単に延長していいかというと,必ずしも,そうとも言えない事情もあるとは思います。今回ばかりは,期せずして聞けた話と,期して聞けなかった話の「トレードオフ」ということでしょうかね。
さて,いいことも悪いことも,今の私なら,なんでも受け入れられると思う由衣ちゃんに,今から,感想でも送りましょうかね。もうすでに,午前 3時の手前ですけども・・・「瞳孔が開きすぎる」点については,スタッフ全員から,NG が出ているそうですけども←
そして,「ここにいる全員が『新津由衣』です」という,わかるような,わかんないような・・・ともかく,「Team 新津」として,作品を広めてほしいという希望がありました。私のメモ書きで広められるとは,とても思えませんが,POPS が好きであるならば,ヘンに先入観のない人ほど,聴いて損はない作品であることは確かだと思います。一応,昨年の「東京10本武者修行ツアー」(10日目・最終日) から,自分で作った Twitter モーメントを紹介しておきますが・・・新津由衣の「人間力」に惹かれたら,占めたもの。
(追伸) 「試聴会」というのに,楽曲に関するレヴューが,まったくないのは・・・私自身,レヴューを書けたためしがないからです。もっぱら,感覚だけで聴いていて,ぜんぜんテキスト化できない・・・(;´Д`) (;´Д`)
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